国税不服審判所について
裁決権: 国税不服審判所長が裁決権を有する(国税通則法第98条)
例外: 国税庁長官通達と異なる解釈で裁決(国税通則法第99条)
法令解釈の重要な先例となる裁決 ( 同上 )
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理由: 同一法令について、執行機関と権利の救済機関とが異なる解釈をとることにより、税務行政の統一ある運用が阻害されるのを防止するため。
〈一般的な審理の進め方〉
〈一般的な審理の進め方〉
国税不服審判所長の裁決は、行政内部における最終判断であり、原処分庁は裁決に不満があっても、訴えを提起することができない。(国税通則法102条) 他方、審査請求人は訴訟を提起することができる。
事例の紹介
外注費事例
請求人(土木建築業)が帳簿に計上した外注費には、水増し計上及び架空取引に係るものが含まれているとし、その損金算入を認めなかった事例
原処分庁が架空取引等として認定した取引は、審判所に提出した証明書類のとおり、いずれも正当な取引であり、架空の取引ではない。
次のことから、架空外注費等の計上が認められる。
次のことから、架空外注費等の計上が認められる。
当該外注先に確認したところ、当該証明書類に署名はしたが、記載された工事名などは自分が記載したものではなく、工事代金も記載金額の一部しか受取っていない旨の回答を得た。
(図解)
外注費の水増し
架空の外注費
国際取引事例(適正仕入額)
請求人が輸入業者・ブローカーを通じて仕入れた家具の仕入金額について、輸入業者から入手した輸入申告書の金額をもって仕入過大額を算定した原処分は誤りであると認定した事例
家具の輸入、代金決済等の業務をブローカーの甲氏に委託したものであり、甲氏から受取った納品書に基づき計上した仕入額は適正である。
次の事実から判断すれば、請求人の主張を覆す事実は確認できないので、原処分庁の主張は認められない。
(図解)
(注) 取引図内の各矢印は、それぞれ次の事柄を示す。
相続税事例
相続した土地の価額は、借地権に係る売買実例を基に評価すべきであるとの請求人の主張を採用しなかった事例
相続した土地のうちに、借地権の売買実例があるのであるから、当該売買価額を基礎として算出した修正路線価を基に評価すべきである。
請求人の主張する修正路線価について、採用した売買実例が借地権者と底地所有者との間の限定された取引であり正常取引とは認められないこと及び売買金額の一部とみるべき「解決金」を除外したものを売買金額としていることなど、修正路線価の算定根拠に不合理な点があり、当該修正路線価を基に評価することは相当ではないことから、請求人の主張は採用できない。
(図解)
相続財産:甲土地(地積300m2 路線価100)
借地権の売買実例(限定取引)からの還元方式により評価
1m2当たりの評価額(修正路線価)
3,000÷60%÷100(m2)=50
甲土地 : 50×300=15,000
路線価方式により評価
甲土地:100×300=30,000
特別な事情の存否の検証
甲土地:125×300=37,500 >30,000
推計課税事例
中華そば店を営む請求人が、一部の帳簿しか保存せず、帳簿に記載した売上金額も出前売上金額の30から40%を除外し、さらに、麺の仕入先と共謀して仕入数量と金額を実際の取引の2分の1となるよう納品書や領収書を作成させていたもので、原処分庁は推計課税により5年間遡及して所得金額を算出し、更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした事例
事業所得の金額の申告もれは、5年間で6千万円以上に上り、個人の推計課税事件としては非常に多額の不正事例であり、原処分庁の行った推計の合理性が争点となったもの
審査請求の段階においても、請求人は各年分の事業所得の金額の計算に必要な証拠書類の提出をしなかったことから、審判所においても推計課税を採用し、原処分庁の推計の合理性及びその計算の適否を検討した結果、原処分庁の一部の認定誤りを除き、大部分の認定を適正であると判断し、課税処分の大部分を維持した。
なお、請求人は、ガス・電力の使用量を基に事業所得の金額を推計すべきであると主張したが、審判所は、請求人の推計方法には合理性がないとして採用しなかった。
(図解)
最終年分
認定所得
純資産増加額 1,300 + 生活費 400 = 1,700
前4年分
最終年分の麺の仕入数 :380 ・・・・・・・・・・・・・
麺の仕入れ1単位当りの所得:1,700()÷380()=4.5
年度 | 麺の仕入数 | 麺仕入れ1単位当りの所得() | 認定所得 |
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X4年 | 400 | 4.5 | 1,800 |
X3年 | 430 | 4.5 | 1,935 |
X2年 | 350 | 4.5 | 1,575 |
X1年 | 310 | 4.5 | 1,395 |